2011年4月7日、研修プログラムの一環で、渋谷のインターネットアカデミーにおいて、「Webリテラシー向上研修」に参加してきた。「インターネット・ビジネス概論」という題目でWebビジネスを行うための基礎知識を学んだ。以下はインターネット・ビジネスに興味がある大学生へ向けて、この講義のレポートを記す。インターネット・ビジネスに興味がある学生は是非読んでもらいたい。
Ⅰ インターネット・ビジネス概論
1.1 インターネットの仕組み
インターネットの仕組みは、簡単に言うと、各パソコンからWebサーバへとアクセス(HTMLデータを要求)し、WebサーバからHTMLデータを受信するという動作で成り立っている。受信したHTMLデータを各ブラウザ(IE,Firefoxなど)が解読し、いつも見ている画面へと翻訳する、という形になる。HTMLというのはWebページを作成する際の専用の言語(ルール)だというイメージで十分。
HTMLについては、色々なページでブラウザのメニューの「表示⇒ソース」あたりを見てくれれば、大よそのイメージはつかめると思う。なんか英語やら何やらが書きなぐってあればそれである。HTMLという言語について知りたい方は下のページが分かりやすいと思う。
<TAG index>
http://www.tagindex.com/index.html
近年、HTML5が出てくるなどと騒がれているが、詰まるところHTMLという言語のヴァージョンアップが行われるということ。色々な機能が追加されるので、今後各ブラウザもヴァージョンアップし、HTML5に対応せざるを得なくなるという話。
○ユーザーが利用するWebブラウザは様々
⇒Webページを作る(コーディングする)人は、複数のブラウザでチェックを行い、レイアウトの崩れ等が無いかどうか確かめなければならない
ところで、IPアドレスって聞いたことありませんか?Webアドレスというのは、あくまでみんなが分かりやすいように、アルファベットの形を取っていますが、Webサーバでは全て数字で扱われています。その証拠にhttp://202.93.91.210/ をアドレスのところにコピーしてアクセスしてみてください。皆さんが良く知っているページが出てくると思います。
各パソコンからWebサーバへとアクセスする際に、途中にDNSサーバというサーバがあり、Webアドレス(ドメイン名)をIPアドレス(数字の羅列)に変換してくれるというわけ。さっきの例だとhttp://202.93.91.210/ はyahoo!を指している、というわけです。
1.2 Webサービス
Webサービスの話に入る前に、まずは、Webサービスの基盤である、インターネットについてお話しします。インターネットの大きな特徴は「Pull型メディア」であるということです。これは、情報の受信者が自ら情報を取得しに行動するということです。一方、対となる概念として「Push型メディア」があります。情報が発信者から一方的に与えられる、ということですが、古くから存在する4大メディア(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)をイメージしてもらえれば分かると思います。
また、インターネット自体のメディア特性としては次の5つが挙げられます。
・能動性
・検索性
・リピート性
・双方向性
・リアルタイム性
これらの特性から、インターネットユーザーの消費プロセスは、それ以前の消費プロセスとは異なるものとなっています。
<インターネット登場以前>
A(Attention)
I(Interest)
D(Desire)
M(Memory)
A(Action)
<インターネット登場後>
A(Attention)
I(Interest)
S(Search)
C(Comparison)
E(Examination)
A(Action)
S(Share)
インターネットの登場によって、検索・比較・検討(S/C/E)の部分が増えました。「価格.com」や口コミサイトが、このプロセスの支えとなっていると思います。また、最後の共有(Share)はtwitterやfacebookが普及してきた現在、特に注目されているのではないでしょうか。
さて、ここからはWebサービスの特徴の話です。特徴として挙がるのは主に3つ。
(1)効果検証の難しさ
このサービスが何を目的としているか、ゴールはどういったものか(ゴールをコンバージョンという)ということを明確にする。ユーザーに複数回のクリックをさせるなど、ステップが複雑になりがちなので、効果検証の際にはコンバージョンを達成したかどうかで判断することになります。
(2)ロングテール
オンラインショップの話が代表的。取り扱うことのできる商品の種類が多いことから、あまり売れない商品でも、それらを合計すると、全体の売り上げの多くを占める、という話。Amazonでは、あまり売れない商品が全体の売り上げの8割を占めているということです。詳しくはこちらでどうぞ。
(3)CGM
Consumer Generated Mediaの略。消費者側が参加する、消費者がメディアを作り出すという形態が近年注目されています。口コミサイトがいい例で、消費者の意見の集合体がコンテンツとして成立しています。口コミを用いたバイラルマーケティングなど、今後はこのようなインターネットのリアルタイム性や双方向性を用いたサービスが主流になるでしょう。
Ⅱ Webマーケティング概論
2.0 マーケティングとは
そもそも、マーケティングとは「商品もしくはサービスを、生産者の手から消費者もしくは使用者にまで流通させることに関する、経済活動の遂行(全米マーケティング協会)」であり、企業の営業活動を効率的・効果的にする活動全てが対象となっています。
また、最近「もしドラ」などで有名になっているドラッカーは「マーケティングの究極の目的は、売り込みを不要にすることだ」と述べています。要するに本来ならば「お客さんが寄ってくる状態が望ましい」ということになりますね。
特にWebマーケティングではインターネット独自の特徴である「双方向性」と「リアルタイム性」を活用する例が多いです。
マーケティングでは、環境分析の後、戦略を立てていくわけですが、この流れやプロセスについてはこのブログのエントリを参照してもらえばいいかなと思います。ということで、ここからは、マーケティングの基本となる4つの戦略を簡単に説明していきます。
2.1 ターゲット戦略
ターゲット戦略とは、一言で言えば「誰にプロモーションするの?」ということを考えることです。マーケティングでは、どういった属性の人に訴求するサービスや商品を作るのかということをしっかりと考えなくてはなりません。ここでの属性というのは様々ですが、代表的なものとしては
地理的要素:地域、都市規模
人口統計学的要素:年齢、性別、職業、学籍
心理学的要素:ライフスタイル、価値観、社会階層(年収とか)
行動的要素:購入金額、購入頻度
などが挙げられます。このように人、を様々なクラスタに分けることを「セグメンテーション」と言います。この「セグメンテーション」の後、ターゲットを選定することを「ターゲティング」と言います。
例えば、新型のマーチのターゲットの選定をする際は、上記のようなセグメンテーションの後「20代~30代の女性、近くのスーパーへ買い物に行くことが多い(ライフスタイル)、世帯年収は○○万程度…(社会階層)」というようにターゲティングを考えるわけです。
ターゲットを選定した後は、そのターゲットの特徴を分析します。行動プロセスを考え、ユーザーがどのようにサービスを使うか、商品を購入するかを想定したシナリオ(ユーザーシナリオ)を考えることになります。その際はアンケートやインタビュー、実際にサービスを用いたユーザーテストなどが行われることが多いです。ペルソナと呼ばれる架空のユーザー像を作成することもあります。ペルソナに関しては様々な書籍が出版されているので、詳しくはそちらをご覧下さい。私としてはソフトバンククリエイティブから発行されている「ペルソナ作ってそれからどうするの?(棚橋 弘季 著)」をオススメします。
2.2 メディア戦略
メディア戦略とは「何を使ってプロモーションするの?」ということを考えることです。効果的なプロモーションを行うためにはどうすればよいか、ということを考えることでもあります。
この観点で見ると、広告は主に3つのタイプに分けられます。
・リーチ重視型広告
商品やサービスの認知獲得と、知名度向上などのブランディングを目的としている広告。バナー広告などが代表的。
・獲得重視型広告
広告をクリックさせてWebサイトへ誘引し、商品の購入に繋げることが目的となっている広告。ブログなどでよく見る「アフィリエイト(成果報酬型広告)」やリスティング広告と呼ばれる、検索結果に連動する広告が代表的。コンバージョンに結びつきやすいのが強み。
・口コミ重視型広告
ユーザー間の口コミの創出や商品情報の拡散による話題性喚起が目的となっている。mixiなどのSNSやブログを利用するのが一般的。
また、最近ではこれ以外にも、コカ・コーラのように自社が運営するサイトをメディア化してしまって、広告価値を高めたり、ユーザーとのコミュニケーションの場として活用したりするという方法も注目を集めています。そのサイト、コカ・コーラパークはこちらです。
2.3 クリエイティブ戦略
クリエイティブ戦略とは「どのようにユーザーが使いやすい環境を作るか」「どうしたらユーザーは動くのか」ということを考えることです。
このクリエイティブ戦略には基本的には4つのアプローチがあります。デザイン、ライティング、ユーザビリティ、アクセシビリティの4つです。ここでは、ライティングとユーザビリティに絞ってお話します。
ライティングは文字の部分の話です。広告の目的やターゲットを踏まえ、人の心に影響を与える言葉を考える必要があります。広告のコピーであれば次のようになります。
脅迫型 「あなた、このままでは一生メタボです。」
潜在意識顕在化型 「残念ながら、ドモホルンリンクルは初めての方にはお売りすることが出来ません」(ドモホルンリンクル)
常識欠落型 「田舎が発展しませんように。」(日本コカ・コーラ/森の水だより)
ユーザビリティは最近注目されていますよね。スマートフォンなどデバイスが増えて、デバイスごとにユーザビリティを逐一考える必要が出てきたからです。ユーザビリティとは簡単に言うと「ユーザーにとっての使いやすさ」ということですが、ユーザビリティの詳しい説明はこのページに譲って、ここではユーザビリティを考えることを業務としている会社「beBit」を紹介しようと思います。
会社のウェブページはここです。ウェブページのユーザビリティのコンサルティングを業務としている会社ですが、ユーザーがウェブページのどこを見ているか、どこに視線が向かっているのかということを記録する、などの方法でユーザビリティを考えます。僕も一度体験したことがあるのですが、視線の履歴は怖いです。ついついアイドルの画像に目が行っている…みたいなものもバレバレです(笑)興味があったらぜひ見てみてください。
2.4 マネジメント戦略
マネジメント戦略とは「どのようにサービスを運営していくか考える」ことです。簡単に言ってしまえば「目標を立て、設定した戦術を行い、結果を見極め、悪い部分があれば修正する」ということの繰り返しです。
Webビジネスで言うと、まず目標を立てるというフェーズの話をします。目標と言っても様々なものが考えられるので、何を目標とするかを決めなければなりません。これをKPI(Key Performance indicator)と呼びます。これは販売サイトなら売上金額なのか、注文数なのか、ニュースサイトならば、PV数なのか、ページがどれだけ長く見られていたのか、など色々なケースがあります。
今まで挙げたような戦略を実行した後は、Webページのアクセスログを解析するフェーズに入ります。アクセスログの解析ツールから分かる情報はさまざま。リファラー(どこのページから飛んできたか)、滞在時間、クリック数、ユニークユーザー数など色々あります。これらの数値を分析し、広告など戦略の効果があったかどうかを確認するのです。
ただ、この解釈というのは様々で、同じ数値から全く反対の判断ができることもあります。例えば、閲覧時間が長ければ「ユーザーがよく見てくれている」という解釈もできますが、ユーザーが目的のページにたどり着けず迷子になっているという可能性もあります。このようにアクセスログの解析は、人の解釈によって大きく左右されてしまうという面もあります。
以上です。相当長いと思いますが、ここまで読んでくれて本当にありがとうございましたm( )m
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