これからのWebビジネス、Webメディアに携わる君たちへ
〜21世紀のメディアビジネスを考える〜
登壇者アイティメディア株式会社 取締役 藤村厚夫さん
日時:2011年4月4日(月)10:00~12:00
場所:アイティメディア株式会社「卯」
第一章:メディアってなぁに?コンテンツってなぁに?
第二章:現代社会の3大インパクト
第三章:メディア企業へのヒント
◆ 第一章:メディアってなぁに?コンテンツってなぁに?
新聞・テレビ・ラジオ・雑誌といったマスメディアや、Facebook・Twitterのようなソーシャルメディアのことを私たちは「メディア」と呼びます。しかし、「メディアってなに?」と改めて聞かれると、答えに少し困ってしまいます そんな「メディア」について、藤村さんは以下のようにまとめてくださいました
【メディアとは?】
①情報を伝える“媒体”・・・物理的、経済的、機能的側面
②情報を伝える“媒体”・・・どんな?だれに?どんなテーストで?
→つまり、「メディア」とは、“外見” や “器”、すなわち情報の形式のことである。
ひそかに驚いたことは、SDカードもCDもMDも「メディア」と呼ぶということです 確かに、メディアを「情報の形式」と捉えると、それらもメディアです。メディアは思ったよりも世の中にたくさんあって、バラエティにとんだものなのでした それでは、「メディア」という言葉の近くでよく使われる「コンテンツ」とは何者なのでしょうか。藤村さんは以下のようにまとめています。
【コンテンツとは?】
①情報の実態
→「コンテンツ」とは、ひとまとまりの「情報」そのもののことである。つまり、一つ一つの記事、情報セットなど、読者が直接体験する単位である。
ここで注目したいことは、現在における「メディア」と「コンテンツ」の関係です。従来、コンテンツの価値はメディアの特性によって評価されていました。例えば、「新聞は、たたんで鞄の中にしまえるから良い」であったり、「テレビは、映像と音声があるから伝わりやすい」などの評価を耳にしたことがあります。これらの評価は、コンテンツへの評価であると同時に伝達媒体の特性への評価でもありました。しかし、これからは「メディアとコンテンツが分離可能な時代になる」と藤村さんは予測しています。アメリカの実業家 Steven Paul Jobs が iPad をプレゼンテーションしたときにソファに座ってiPadを触るというシチュエーションを見せたのも、従来のPCへの固定されたイメージから私たちを遠ざけるためでした。コンテンツが形式の枠を越えて自由になることについて藤村さんは、「形式からの“分離”は、ビジネスの多様化というインパクトを世の中に引き起す」と言及しています。
2. 現代社会の3大インパクト
今、社会がメディア企業に与えている大きな3つのインパクトのことを、藤村さんは「3大インパクト」と呼んでいます
3大インパクトの一つ目は、広告の自粛です。3.11以降、広告宣伝の自粛が行われ、従来のメディア産業が根幹から揺らいでいるのが現状です。二つ目は、ソーシャルなパワーによる情報ネットワークの劇的な変化です。個人がメディアを創り、メディアに参加する時代となった今、様々な分野でソーシャルに適合するメディアビジネスの模索が行われています。従来型メディアに求められていたことは、均質な学びや知であり、冷静さと客観性でした。しかし、ソーシャル型メディアでは、特定分野の活性化に適応することが求められ、共感共鳴から参加のうねりを巻き起こすための意見が言いやすい環境作りが求められています。三つ目は、PC中心時代からのシフトの加速です。スマートフォンの普及により、思い立ったらすぐに書いて、写真を撮って、リアルタイムに情報を発信することが簡単に出来るようになりました。24時間、私たちは常にメディアと接点を持っています。
3. メディア企業へのヒント
そんな今の時代、メディア人の心構えとして、藤村さんは次のようなことをおっしゃっていました
「デザイナーは、プログラマーなのかもしれない。」
「プロデューサーは、建築家なのかもしれない。」
「 編集者や記者は、営業パーソンなのかもしれない。」
ふと思えば、大学院時代、日本の実業家として有名な竹中平蔵教授もこのようなことを言っていました。
「植物学者ではなく、庭師になれ。」
現在、メディアはマスメディアだけではなくなってきています。そして、メディア企業の周りには既にあらゆる分野の企業がライバルとして存在しています。しかし、これを「ライバル」と捉えるのか、「運命共同体」と捉えるのかは自由なのかもしれません
最後に、藤村さんは、梅田忠夫さんの『情報の文明学』という本に書かれていた言葉をご紹介してくださいました。
「東海道新幹線をどのように考えるか。
あれは情報産業である。
情報をいっぱいつめこんだ人間を運んでいる。」
私はこの言葉に深く感銘し、上澄みに隠れている自分の「根っこ」を掘り出していきたいと思いました
藤村です。ありがとう。
良くまとまっているので注文を付けることは特にないです。で、問題は、“これから何が起きるか!?”です。
生活者にとって、メディアはどうなる? 企業にとって(広告媒体としての)メディアはどうなる? さらに言えば、モノを書く人にとって、メディアはどうなる? ということ。それも、3.11以後、変化が加速すると思うのですが。その変化の行方を見通さなければなりません。
投稿情報: Atsuo Fujimura | 2011/04/13 22:54
はい!
営業の同行をさせていただいていて感じたのですが、やはり3.11以後、少なからずどの企業にも影響はあるようです。しかし、企業の方は、私が思っていた程悲観的ではありませんでした。「社会の状態が変わったのならば、ビジネスの方向をそちらに向ければいい」といったように、とても前向きな姿勢でした。このような時代の変化に対応することは、会社のビジネスにとどまらず社会の発展に繋がっていくと思います。
変化の行方を見通すのは本当に難しいですが、時代の波にうまく乗るということを先輩社員さんに学びながら考えていきたいです。
投稿情報: おおたともみ | 2011/04/15 10:26
We need a lot more insitghs like this!
投稿情報: Caroline | 2012/02/21 06:28