採用担当者は、スマートフォンの急増に対して現状をどう理解し、どのような対応を取るべきでしょうか?
大学生がどのくらいスマートフォンを持っているのか、という点についての面白いアンケート結果がこちらのサイトで公開されていました。
文系女子でも3割強、平均して4割程度の就活生がスマートフォン(その9割はiPhone)を使っているという結果。
4割というとすでに無視できない割合と言って良さそうです。
そして、同サイトの別アンケートによると就活生のほとんどがスマートフォンを利用するのは「就活に有利だと思う」と回答しています。
ここには企業の採用担当者が今考えるべきことが示されているように思います。
それは、情報の受け手のデバイスが多様化している=(イコール)=情報への接触方法が多様化している現実を、情報発信側としてどう捉えるべきか、ということです。
■このアンケートから感じ取りたいこと
端末はスマートフォンでも携帯(ガラケー)でも構わないのですが、つぶさに感じ取るべきは、就職活動というシーンにおいても、インターネット上に流通される情報はもはや自宅・学校のPCだけで見るものではない形に、情報の受け手側の状況は変化しており、それはネットワークの拡大スピードや情報の交換スピードが高速化つつ多様化していることとおそらく同義で、しかもその状況が「有利な状態」と強く意識されているいうことです。スマートフォンの登場がその状況を加速することは明らかで、現時点ですでに全体の4割の就活生がその領域に入っている…これが先のアンケートの結果だと思います。
学生の情報接触シーンを、「リクナビ/企業HPというメディアを通じた、企業からの情報をPCで受け取るもの」という発想のみで想定し設計をしている場合、情報の受け手の変化(ネットワークの拡大や情報流通のスピード)に対応できていない可能性がとても高い。だからそれは見直すべきタイミングが来ているのだと、これらのアンケート結果から読み取るのが正しいでしょう。
あのリクナビが11月中にスマートフォンアプリを公開すると発表していて、「スマートフォンからのアクセスについて考える」という対応の切り出し方は、否応なしに重要性が増してくるはずです。
そういった状況を踏まえ、(他社と少しでも差別化するための)採用戦略として、採用担当者が各ユーザーの情報接触シーンをどう想定し設計できるのかがポイントとなる時期に、2012採用は入ってきていると言えそうです。
■まずはこんな対応から
ちなみにこのアンケートで「就活に有利」と学生さんが回答している中身としては、各種アプリ利用のような、採用企業が提供するものとは関係ない事象も総て含められると想像されますが、ここではわれわれ採用担当者が提供できる「有利さ」にフォーカスして考えることになります。
なかでも「Webアクセスへの便利さ」という側面については、学生が意識するスマートフォンならではの「有利」の意味に近いと思われますので、われわれがするべき(できる)対応を考える際には、重要なポイントになるでしょう。
であれば、あまり大袈裟なことではなくとも、あらゆる企業ですぐに対応できることありそうです。
・スマートフォンならではのリアルタイムコミュニケーション/リアルタイムネットワーキングの準備をする(例:twitterやSkypeアカウントを準備しておくなど)
・スマートフォンからの閲覧に適した採用HPや情報プラットフォームを準備/カスタマイズする
・メールなどの連絡手段はスマートフォンで見られることを想定する(例:Googleマップや他アプリとのリンクなど)
・その他いろいろ(道案内にセカイカメラでエアタグ付けておくとかw いろいろなアイディア)
もしかしたら自社専用アプリを投入するような企業が出てきて、その設計仕様で差別化し始める時代になるかもしれませんが、現時点では、上記のような基本的な対応が大切ではないかと個人的には思っています。
企業側がこのような基本的な対応を丁寧に進めていけば、ユーザーとしてリテラシの高い学生の行動に、自然と利便性・有利さを提供していることになっているものだと思うからです。
■スマートフォンに適した採用HPについて
そんな中で、スマートフォンに適した採用HPのありかたについては、具体的に付け足しておきたいことがあります。
スマートフォン用に完全カスタマイズした採用HPをすべて準備するのは難しいかもしれませんが(採用HPを制作プロダクションに依頼をしているのであれば見積もりだけでも取ってみる価値はあると思いますが)自社の採用HPがスマートフォンから閲覧された時のことを想定しているか、というのは、すこし振り返ってみていいはずです。
当社の2011採用を例にしますと、自社HPに設けたエントリーページが、スマートフォンから閲覧するととても使いづらいページ設計になっていました。そこで、そのエントリーページだけ、スマートフォン専用のページを準備するという対応をしました。このくらいの対応でも、しているのといないのではその後の効果が違ってきます。
さらには、スマートフォンに限らずとも、採用HPの作成については学生(=ユーザー)視点を第一に考えるはずですが、そんな重要なポイントがずれているケースが実は多いのではないか、ということを見直してみる必要があるかもしれません。
特にその傾向が顕著になっているのが、「Flashの使い方」ではないかと思っています。
学生さんに話を聞くと、総じて、巷にあふれる採用HPのFlashに対する評判が悪いのです。曰く、ユーザーたる学生からしてみると「ただ起動を待たされるだけの代物」、というモノが非常に多く、存在意義自体がかなり厳しく判断されています。端的に言えば「見せる側の自己満足」---という感想しか持たれておらず、最悪の場合はそのFlashのための待ち時間が「離脱」の原因にさえなっているというのが現実です。
そして(ここからスマートフォンの話に戻ります)、もうお気づきのとおりですが、スマートフォンの9割を占めているというiPhoneでは、Flashは起動しません。自社の採用ページが、実はスマートフォン(iPhone)で見られないことになっている----かもしれません。
もしそうだとすれば、例えばトップページだけでも非Flash版を準備してみることを、採用担当者として検討してみる価値があるのでは、と思います。
■リクナビもスマートフォンアプリをリリースするとのこと
前述したとおり、リクナビ2012もスマートフォンアプリ(Android、iPhoneいずれも)を11月下旬にはリリースするとのことですので、その仕様を理解し、対応をしておくことの重要性が更に増しそうです。そのアプリから企業の個別ページに飛べるような仕様とか、企業の連絡先が表記される仕様とかになっていればなおさらです。
※リクナビのアプリからは、例えば説明会予約ができるようになるのことです(詳細はこちら)
■アンケートに話が戻って
最後に、冒頭のアンケートに話が戻って、できれば次のようなアンケート結果があるとさらに良いんですがね。なんて図々しく希望してみたり。
・スマートフォンを購入した本来の目的
・スマートフォンを購入した時期
・スマートフォンを使っているシチュエーション(場所、時間帯、利用用途)、主な活用方法
・就活を有利にすると考えている理由や利用方法
このあたりのデータが揃ってくると、どういったアクションがなされるべきか、採用担当者がさらにマーケティング的に考え始められるのですが。 _・。)ちらっ
文責:人事・採用担当 浦野
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