皆さんは、ブログを書いていますか?
ブログを書く。それも、何らかの価値の提供を意識し不特定多数の目に触れるブログを書き続ける。それは、始めるのも続けるのも、いろいろなきっかけや選択、想いや理由が必要になるものです。
先日、大学生ブロガーとして評価の高い4人の若者と、ちょっとしたUSTREAMイベントをさせてもらいました。
大学生である彼ら彼女らはなぜ、ブログを始め、それを続けることができ、さらには大人にさえ評価されるようなブログを書くようになったのか、その理由は何だろうか、それを知りたいと思っていました。表面的には、そのテクニックを知ることによって。そしてもう一方では、一歩奥にある、その動機や欲求を知ることによって。
貼りつけたUSTREAM動画の1時間16分30秒から、それを探るセッションが始まっています。
彼ら彼女らを「情報発信力に長けている」「優秀だ」という視点におさめることは簡単ですが、おそらくそこにはブロガーがブロガーである理由はないだろう。そんなことが感じられるセッションになっています。
■今回登場する、4人の有名大学生ブロガー:
今回参加してくれた、4名の大学生ブロガーの皆さん。
吉田将人さん ブログ まさとの頭の中を覗いてみよう Social Life with Simple Design 東京大学4年 (以下文中【まさと】) |
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瀬戸晴加さん TiaraGirl編集長 ブログ Setoharu Blog 國學院大學3年 (以下文中【せとはる】) |
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植村正太郎さん ブログ little_shotaro's blog 慶應義塾大學4年 (以下文中【正太郎】) |
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金瑞香さん ブログ born this way 立教大学4年 (以下文中【きむ】) |
以下、4人のブロガーの主な発言をまとめました。私が大切だと思った言葉は赤い字にしています。最後に司会者としての私が個人的に感じたことも少し書きました。これから「ブログを書こうか」と考えていた人にとってのきっかけがたくさん詰まっていると思います。
------------------------------<以下、セッション内容>------------------------------
■【質問1】なぜブログをやめずに、続けているのか
ブログを始めるのは簡単でも、続けられないというケースは多々見かけます。続けることの意味づけが難しいというのは多々あります。なぜ、皆さんはブログを続けているのか
【正太郎】書き続けていたら、あるときから読んでもらえるようになった。だから続けられている。自分の記事が読まれていることは、自分が認められているという実感につながっている。
【まさと】最初は完全に自己満足ではじめた。それがだんだんと受け入れられるようになってきた。自分の勝手な意見も、きちんと読んでもらえる。そういう人がいることが続けている理由。最初は読んでくれる人はいない、というところからのスタート。徐々に増えていった。
【せとはる】自分の生活を大切に記録したいというのがきっかけ。読者モデルの生活も、実は同じような活動の繰り返し。あるとき、何も記憶が残らない生活をしていることに気づいた。最初はPVとか関係なく、自分の記録としてつけていったが、モデルとしての活動を続けるうちに徐々に読者も広がっていった。それからはユーザーのニーズに合う記事を書くようにしている。読者のリアクションが嬉しくて続けている。
読者モデルのブログは、反感にも繋がるジャンルだと意識している。だから「きちんと情報を発信できるモデル」というポジションを作りたいと思って続けている。
【きむ】はじめた理由は「大人に物が言いたい」から。それに対して、読んだ人が意見を返してくれることが一番嬉しくて続けている。
■【質問2】誰に向かって書いている?ターゲットは決めている?
なるほど「読んでもらう人の存在」が重要だ、とすれば、そもそもターゲットは決まっているのか。もしくはどのような人をターゲットにしているか。
【まさと】ターゲットは大学生。当初からそれを決めていたのではなく、自然と。今は別のブログも立ち上げたが、そちらはターゲットを決めるところから始めている。違うテーマで違うターゲットに向けても書きたいと思ったので。
【正太郎】ターゲットには悩んでいる。自分が本当に伝えたいメッセージがある場合に、ブログで想定しているターゲットとずれるテーマだと、そのエントリが読まれない。書きたいことよりも読者の関心にあわせることになる。そこが悩み。
■【質問3】ネタ探しはどうやっている?
大変なのは、題材となるものを探し続けること、そこにアンテナをはり続けることだと思う。そこにやり方や工夫はあるのか。
【まさと】普段の生活の中で思いついたことを、その場で全部スマホに打つ。箇条書きに追加していく。ある程度たまったら、それらをブログの下書きに全部貼り付ける。そこに日々読んでいるたくさんの記事から得たものを足し合わせて、記事化していく。
書く習慣がないと情報が自分に吸収されない。整理されていない頭の中には、インプットはされづらい。書くことで整理されるから、新しいインプットがされる。ブログでアウトプットするのはそういうことが大切。
【正太郎】日々情報に触れるのが大切。いつも電車の通学時間を使って、Googleリーダーに入っている200~300の記事を消化している。Googleリーダー見ていると、いま何の話題が人気あるのか、逆に何が書かれていないか、が分かる。
【せとはる】日々の活動自体がネタなので、それを「どう書くか」が重要になる。例えば、関連する過去の情報なども引用して書く。取り上げる美容室など、普段お仕事をいただいた皆さんに対しての感謝、ギブアンドテイクをどう実現するかを考えて工夫している。次の活動に繋がるような毎回の記事にしていく。
皆が見たいのは個人的な自慢話ではないと思う。学生モデルは勘違いしやすい。学生であり人としての活動の一環としての読者モデルという自分を表現したい。誤解されやすいことをきちんと意識して、表現をする。
クリエイティブを発信する場を与えてもらっているのがブログ。かわいいだけなら他の誰かのブログでもいい、ということになる。自分の生き方を投影したい。なかなか難しいけれど。
【きむ】自分の感情を大切にしている。普段の生活でおきる感情を一つ一つを大切に、そしてアイフォンでメモする。感情がわきあがったときに書くようにしている。
■【質問4】文章化するときの方法
文書として表現する時に考えていることは---。
【きむ】読んでいる人が、このブログを読んでどう思うかを第一に考える。嫌な気持ちになるならそれは自分がやりたいことではない。「違いを認める」が自らのブログのテーマ。感情がわきあがったときに書くが、アップする前に何度も読み返す。
【正太郎】自分がやっているのは情報系のブログなので、いかに分かりやすくシンプルに伝えるかが大切なこと。ブログを訪れて読んでくれるのは、きっと一瞬。その一瞬でもパッと情報をもって帰ってもらえるように、瞬間でもわかるような文章の整えかたをする。
【まさと】長文で論理を考えながらのブログになってしまうので、文体を心がけている。お互いに話し合っているような感じが出せるように。三橋ゆか里さんのブログが参考。
■【質問5】よい反応やコメントを狙ったりする?狙ったとおりになる?
思い通りのリアクション(コメント)が返ってくるものだろうか---。
【正太郎】自分のブログへのコメントには2種類ある。
1.「情報として参考になった」というリアクション。これには、さらに情報を付加してくれるようなコメントもつく
2.自分の思いへの共感。PV少なくてもコメントがつくパターンはこちら。PVとコメント数は比例するものではない。
【まさと】内容的に噛み砕けて、ある程度の意見表明があるもの。意見表明がないと読者は感想が出せない。また、文章が長すぎると読者もリアクションが難しく、コメントはつきづらい。ある程度のコンパクトさは重要。
【きむ】ニッチな分野のブログでは、「自分の意見を出す」ことがないと読んでもらえないし、コメントもつかない。読んでもらった人に何かを考えてもらうことが目的のブログをやっているので、読んでくれている人が意見を出しやすいような問いかけとか、断言とかを意識している。読んだ人のリアクションを考えながら書く。
【せとはる】コメントがたくさんつくときのパターンは2つ。
1.いい写真がとれたとき
2.話題がヘアメイクのとき (これは読者層に合った話題であるということ。)被写体に限らず写真がちょっと良いとコメントつきやすい。もしくはギャップがある写真。いつもの自分と違う様子など。
■【会場からの質問】何かのリアクションを狙って書くことはあるか?バズって欲しいと思って書いているか?
【正太郎】情報まとめ系ブログの場合は完全に、はてぶ狙い。それを狙うから公開するタイミングが重要。例えば、朝に更新すれば、ビジネスマンは出勤時間に読んでもらえる。自分なりに自信がある記事でも、インフルエンサーに見てもらえるタイミングを外すと、ぜんぜんバズらない。
【まさと】タイトルの分かりやすさと文章構成の分かりやすさで書いたりもする。ただ、バズを狙いすぎるとそれがうさん臭くなることもある。
【せとはる】アップするタイミングによって1万PV以上違う。朝の通学時間帯はよく読んでもらえるので、すでに1件目のブログがあがっているように必ずする。その段階で次の活動に少し触れて、前フリにする。それは、順を追って次も読みたいという気持ちを引き出す、次の更新につなげる工夫。行動ログ系のブログの場合、結果報告をしてもだめ。次の活動の結果が出るまでの「次へのステップ」をコンテンツにする。そうすると次のエントリを見てもらえる。プロセスを書くことで、読者も一緒にその場に参加する感覚で見てもらうこともできる。
【きむ】朝もしくは夜に公開する。それはツイッターで拡散してもらうため。ターゲットが狭いブログなので、読者が読みやすい時間帯を狙う。読者がツイッターを使っている時間帯は?とか、ブログを読む時間帯は?ということを考える必要がある。話題のピックアップについては、リアルタイム性を重視。
■【質問6】最後に、「大学生として」ブログを書くことの意味は?
社会人ではなく、自分を大学生として意識し、ブログを書くことに特に意味があるとすれば---。
【きむ】大学生だから間違えていいんじゃないか、ということがあると思っている。意見や題材についても、学生ならではの視点だと言ってもらえるようなブログにしたい。失敗ありきというところに「大学生として」ブログを書くことの価値があると思う。
【せとはる】自分の記録を残すということ。たとえば高校までは、みんなの行動はほぼ方向性が同じ。社会人もみんながだいたい同じになるのではないか。きっと大学生がいちばん何も決まっていない。自主性が問われて、やる人やらない人の差が出る。自分の1日1日を文字と写真で大切に記録していくと、形に残すだけでも、自分がどんな生活をしているのか認識する大切な場になる。読んでもらえてももらえなくても、今の自分を切り取って記録することの意義は大きい。
【まさと】大学生のいいのは時間があるところ。たまに1本の記事を書くために8時間かけることもある。そんな時間は大学生しか取れないと思う。ブログを書くというのは自分がどのへんまで分かっているのか、その確認作業になる。その確認状態をストックしてアップデートしていくことができる。そのためにもどんどん文字にしていくことの意味がある。
【正太郎】自分のやりたいことを手繰り寄せられるのがブログ。自分の興味のある活動を発信することで、関係する人に見つけてもらえる。それが自分がやりたいことの実現に繋がる。
------------------------------<以上、セッション内容>------------------------------
■司会をやっていて感じたこと:
いかがでしたでしょうか。優秀な大学生であればブロガーとして共感を得られるかと言えば、そんなことはない。一番近いところで司会をやっていて感じたのは、今回登場してくれた彼ら彼女らに共通するのは、「自分の人生の今、この一瞬」に対する意識の濃さ、ではないだろかということでした。
4人の話の端々にとても強く感じられたことは、それぞれの人生の日々の一瞬を通り過ぎていく、見逃しがちな思いや出来事、情報や興味といったものさえ大切にしたいという敏感さであり、些細なものに対しても強い価値を感じる感覚の強さでした。もしかしたら、この4人のように、あえてブログを書き、それを共有するというような人生の選択は、自分が感じる「今この瞬間の感覚」にどれだけ正直になっているか、ということの表れなのかもしれません。だから書き続ける。(書き続けるから、結果として読まれる機会が増えていく。)
途中で「人生観の反映」という発言が出てきていますが、まさにその通りなのでしょう。
さらには、自分の人生を意識することとは、相手の存在をどれだけ敏感に意識できるのか、ということでもあり、それが多くの読者からの評価にも繋がるのでしょう。さまざまなテクニック的なものも、そういった意識をもって続けていくことで、自然と身についていったもののように思えます。
日々何かを感じようとしている限り「自分にはブログに書くようなことがない・・・」ということはないのだと思います。
■最後に。ブログを書くという選択を、ぜひ。:
専門性の高いブログを読む習慣をもっている方であれば、実際に自身でブログを始めるのがいいんじゃないかと、個人的には強く感じています。質の高いインプットを心がけている人であれば、自分の思考をアウトプットする(そのためにインプットを一度整理する)行為とか、自分の思考整理に他者からフィードバックを受ける行為に、意義を見つけられるだろうと思うからです。
そして、なるべく有意義な情報を発信したいと考え、情報を発信する立場になると、結果としていろいろな方々との出会いがだんだん多くなり、そのことで自分のインプットが確実に増えます。「情報を出す人のところに情報は集まる」という本質を実感するのに、それほど時間はかかりません。
そして、個人レベルでも幅広い範囲に情報を発信できる時代になった(=つながりを直接感じられる範囲が、個人であってもとても拡がった)のだ、ということもあらためて実感することになると思います。
文責:人事・採用担当 浦野
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