ここのところ新卒採用の界隈で「とりあえずソーシャルメディアを使いたい」「ツイッターで優秀な学生を採用した企業があるらしいからウチも」という類の、ツール論が先行するありがちな状況が出てきていて、気になっています。
2011年度採用でいくつかの企業がソーシャルメディアを使い、すでに先行事例となっていたり、且つそれをいかにも先進的な成功事例のように(当事者が意図している場合も、メディアがそう祭り上げる場合もありますが)喧伝したりするものだから、毎度のことながら「ツール万能主義」な、=たとえばTwitterさえ使えば何かが上手くいくというような=、そういう空気が出てきていて、ちょっといやだなぁと思うのです。
いわゆるツールありきの視点になってしまっているので、目的が明確でないまま話が進んでいたり、UI的な操作方法にまず気を取られていたり、ということから始まって、なかにはリクナビと同じよう に母集団を確保するものとしてTwitter利用を考えているっていうそもそもなケースまで、そういう間違いとか、ポイントのずれた発想とかが普通に起こったりしています。
おかげさまで、当社もTwitterやUSTREAMを利用した採用活動の先行事例とか成功事例として取り上げていただいたり、人事の勉強会でお話するような依頼をいただいたりしているのですが、実際のところ、ソーシャルメディアを使って新卒採用に活用できる企業って、条件が偏るような気がしています。(素晴らしい企業だから成功する、というよりも、成功しやすい企業には条件がある、という感じ。)
その条件って何?というのは、また機会を見てこのブログでもまとめてみたいと思いますが、留意したいことはたくさんあります。ソーシャルメディアってリクナビなどのナビサイトを利用するより手間かかりますし、採用フローを全体的に見直す必要も出てきたりします。また、これからは新卒採用に利用する会社が増えてくるでしょうから、それなりにリテラシーの高い担当者が扱わないと、効果がますます出づらいでしょう。逆効果ということだってこれまでの採用手法と比べたら結構な可能性であり得ます。
リクナビなどを使った既存の採用活動フローの片手間に(って言葉が悪いですが、サブ的位置づけで)ソーシャルメディアを利用するというのであれば、例えば説明会日程アナウンスとかHP更新通知くらいに当たり障りなく利用してくださいということで十分と思うのですが、でもその程度の利用だったら戦略上も戦術上も特に効果がないでしょうから、わざわざ手間とリスクをとってソーシャルな場に出てこなくても、とも思います。(担当者の道楽でもない限り。)
「効果が出ない」程度ならまだよくて、2012採用あたりでは、もしかしたら企業のTwitterアカウントが炎上するようなことも出てくるかもしれない。もちろん、みん就などに比べれば、炎上の危険性はとても少ない場だと思いますが、もしもそういうケースがまれに発生するとすれば、その理由はきっといくつかのポイントに絞られるように思います。それもまた次の機会にまとめられればと思います。
(って“次の機会に”---ばっかりの今日のエントリー。前振り、ってことでご容赦ください)
文責:人事・採用担当 浦野
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