前回のエントリ(こちら)の続きです。今回は、場の設定にどのような工夫をするか、という前回で言うところの<その3.>についてまとめたいと思います。
当社がUstreamで説明会を行う目的は、「Webビジネスの担い手の1社として、遠隔地という理由で学生さんに不便を強いてはいかん!」というものでした。
そこには必然的にWeb企業らしくあることが求められ、また、最終効果としてはWeb感度の高い学生さんを地方からも掘り起こし、エントリーにつなげること(目標●名)が意識されることになります。
そのためには一体何をするのが正しくて、そして効果的か…いろいろな企画を張り巡らせることになります。
結果として当日の設備や体制(コンテンツ以外の面)で、当社が行った方法は次のようなものですので、まずは簡単にご紹介します。そしてそのあとで、「なぜそうなるのか」「なぜそれが効果を生んだのか」を今回はその一部だけですが記したいと思います。
・リアル会場には50名ほどの学生さんが参加
・会場からのツイートも奨励
・Ustreamを見るためにはパスワードが必要
・パスワードは当社エントリー後に、希望者に対して発行
(発行のタイミングは当日開催。メールで)
・会場ではUstream画面もプロジェクタで投影
・Twitter担当を一人配置
(質問タイムのために質問をまとめたり、随時回答もしていく)
・無料でできる限りのクオリティを求める(Producer無料版/FMLEの利用)
・誰でも発言しやすいような仕掛けもつくる
・Ustreamで参加すれば、説明会に参加したものとみなされ選考にすすめる
これらが、前回エントリでもお伝えしたコンテンツの工夫を横から補強する「設備や体制」の工夫ということになります。
<その3. 当日の場の設定にどのような工夫をするか>
考えなければならないのは、いかに目的を達成するかということで、それを考えるにつけずっと思い悩んでいたのは、
“説明会に「遠隔地からつながった」というだけでは、「エントリーに結び付く」という最後のところを実現するしかけとして弱いのではないか”
ということでした。
距離を超えてまで当社の選考にエントリーしようという思いに本当にスイッチを入れられるのか・・・。
そんなことを、うむうむ考えていたのですが、最後にひねり出されてきたのは、どう考えても「学生さん同士が、東京の会場とUstreamとで距離を超えて絡んでしまうようなもの」が一番効果的だろうということでした。結局それが「ソーシャル」な場の本筋であると感じられたからです。
すなわち「企業と学生」の関係性を第一義に強めようと考えると、どうしても企業メリットによってご都合的に場がコントロールされてしまう。それよりも、ソーシャルな場なのだから「参加している学生同士」の惹きつけ力のほうを思い切って優先する。そのことによって結果的に企業と学生の間に関係が出来上がっているような。そのほうが結び付きの強度としては信頼できる。「遠隔地からの参加」ではなく「一体に」を感じるということ。もしかしたら、共犯関係をつくる、と言えるかも。
これはソーシャルな場で企業が何をするべきなのか、というスタンスを考える一つの回答にもなるではないか、などと思います。(←大袈裟だったかな・・・)
そしてあらためて、私たちの最終目標はただ単にエントリーを増やすことではなく、「Web感度の高い」学生さんのエントリーを増やすこと。だとすれば、ソーシャルな場にそぐわない妙なコントロールはそういった学生さんには見透かされ、魅力のないものになるはず。
この共犯関係をつくるためには、必然的にリアルな会場に学生さんがいてくれないと成立しません。
そこで、まず大枠の企画として、学生さんが50名ほど入っている会場からの生中継という方法を選択することになります。
…と、そんな具合でひとつひとつ、目的に照らして場面設定を考えていきます。
最初は考えてばっかりですw
でも一度、方向の糸口が見えてくれば、いろいろなことがスルスルとイモ掘りのようにつながって出てくるというのが世の常と思います。
出来上がってきた場面設定のイメージに基づくと、会場からも自由に会場の様子や質問をツイートしてもらうことが重要で、リアル会場でUstreamの状況がつぶさに確認できる設備もあったほうが好ましいこと。
Twitter担当者がしっかり貼りついて、Ustream経由の質問にどんどんリアクションをしていくことも最初のハードルを下げるために必要だろうこと、そして会場からのツイートと意識的に結び付けるようなやり取りもしてみよう。全体のトーンとして、学生同士が共鳴し合うようなきっかけづくりを意識したツイートをこちらは毎回意識する…とか。
そして実際にやってみた経験として。
当社のUstream説明会の現場で起こったのは、「企業と学生の双方向」を越えた、「企業とあの学生とこの学生がその学生とあの学生と…のクロスオーバーする多方向」なコミュニケーションでした。こうなると自分たち企業側が発信した情報が、どう伝わってどういうコミュニケーションにつながっていくのかなどとコントロールしないほうが正解です。自然に学生同士のやり取りが始まっているのですから。
お互いに、アイティメディアの語る「次世代メディアのありかた」を説明会の最中にツイートで討議し始めます。そこに私(Twitter担当)も、ひとつの意見を出したりします。学生同士がその場のルールを決めて、コミュニケーションをスムーズにしようと工夫します。そこにあるのは、限りなくフラットで、お互いのベクトルが一つに向いた、多方向なコミュニケーションのかたまり、というようなものでした。そのきっかけとかネタを、会社は説明会で提供しているような感じです。
先日のテレビ東京さんのUstreamの形だと、参加している学生同士がコミュニケーションし合う、という場面が創造されづらいのではないかなと思います。実際にそういった場面は見ることがありませんでした。「企業側が中心となった双方向」、という。そこに、ソーシャルな感じというよりもWeb2.0どまりな雰囲気を感じました。で、それでも成功するのはテレビ東京さんだからこそ。
そんなことからも、あれはテレビ局だからやっていいことで、コンテンツ力ありきで盛り上がった、他社が真似してはいけないもの、という感想を持っています。
文責:人事・採用担当 浦野
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