前回のエントリーが長くなりすぎ。書ききれなかった分の補足です。
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■mixiではなくFacebookであった理由(の推測)
リクナビが連携する相手としては、ユーザーが少ないFacebook(以下、FB)ではなくmixiのほうがいいんじゃないのかという感じもしますが、就職活動(採用活動)の実態を少し斟酌してみると、FBである理由としては次のようなことが考えられるのではないかなと。
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(1)リクナビにとってのお客様は学生ではなく企業であるというのが元も子もない前提ですから、匿名ありきのmixi内で就活生が繋がるサービスをリクナビが促進するということは避けるべきでしょう。みん就と同じ状況を安易に作り出す可能性が大きく、企業にとって有難くないサービスになってしまうからです。
まずは本名でなければ機能しない新サービスであることによって「企業にも学生にも安心なサービスを拡張しましたよ」というアピールをしなければならないリクルートの立場だろうと思います。
(2)学生側からしてみても、こういう仕組みで企業や社会人にコネクトしようとする場合、これまでの自分のSNS活動履歴がたまりすぎているmixiでは、それらを明るみに出すことへの躊躇が大きい障壁になると思われます。
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このような両視点から、mixiってあまり現実的ではないのではないかな?というのが個人的な推測です。
・・・でも、実際のところは、今回の提携については下記の理由が一番大きいかもしれないですね。
(3)FB日本法人の現経営陣がヤフージャパン出身であるから。
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■当社はこうするつもりです
さて、アイティメディアでは、就活生の皆さんへのアプローチツールとして、Facebook(ファンページの活用)とTwitterをメインに利用しようと考えています。就活系のナビサイトには(2011から載せない選択をしていますが、)2012も載せないつもりです。予算もとっていません
そのほかには、自社メディア(ITmediaや@ITなど)内でのアピールをうまく利用することと、社員や内定者の個人的なコネクションを活用します。
どれもこれも無料の手段ばっかりwですが、2011の実績から考えてみると、このような“オール無料プラン”で、内定者15名までは確保できる想定です。(こちらのブログに掲載した資料もご参照ください)
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もちろんFacebookについては、今年はそれほど多くの実績は出ないと思っています。まだそれほど多くの学生さんが利用するとは思えないからです。でも、まだ多くの人が使っていない状況だからこそ価値がある、という考え方をしています。
当社のような企業にとっては、Web上で新しい行動を“いちはやく”実践する、全体から見れば少数派の学生さんというのは、Webサービスに対するイノベーターと想像され、自社の事業の方向性にマッチする層と仮説できるので、アプローチをしないわけにはいきません。
この状況を換言してみると、「マスアプローチなどにお金をかけないからこそ、より具体的なターゲティングができる」、という素晴らしい状況であると捉えています。(ついでに言うと、ユーザーが増えすぎたTwitterのほうが魅力が減じてきていると思ってます。)
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これまでにありがちな、母集団を数多く集めて、その数量をさばくために採用担当者が時間を使っているような“マス採用活動”ではなく、よりターゲットされた学生さんの皆さんとのマッチングや、そのための双方向・多方向のコミュニケーションに時間と労力を使う------ソーシャルメディアによってそんな採用活動が可能になってきていると実感しています。
そして中期的な視点では、Web上でのメディアやコミュニケーションにおいてソーシャルの流れが止まることは当面ないと思うので、昨年の経験は今年に繋がるし、今年の経験は来年に繋がると考え、積み重ねをしていくのが重要だと考えています。
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このような流れが広く定着してくるにつれて、世の中の採用担当者の仕事の中身・使う時間の内容や質は変わってくるだろうと確信しています。また、流れができてから追いつこうというのは大変なので、少しずつ流れを先行していかないと(企業としても、採用担当者のキャリアとしても)差別化ができない。そう考えています。
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■学生のみなさんへ:ソーシャルメディア上でもっと自由に、そして戦略的に動いてほしい
これまでは企業側のアクション視点でどう捉えるべきかの意見を書いてきましたが、最後に学生の皆さんにお伝えしたいことを。
それは、“躊躇せずに、(実名でも)ネットワーク上で自由に行動することのメリットを享受してほしい”、ということです。
これからの時代を生きる企業人にとって、個人ブランディングのための行動力がますます必要になってくると思います。自らの発信を多くすればするほど、会社や地域といった制約を超えて個人のプレゼンスをあげていける時代です。
日本経済の決して楽観できない今後を考えれば、そういった自分の市場価値を高めていくことがますます大きな武器になるでしょう。
情報を自由に発信でき、受け手との信頼関係を構築していくことや、信頼できるコミュニティを形成することは、自分の言動に対するフィードバックの機会を積極的に持つことにほかなりません。そういう場に身を置いているかいないかが、今後ますます自己を差別化する貴重な経験の差になるはずです(それが良いフィードバックでも、そうでなくても)。
そこを避けて通るのではなく、あえて言うなら(学生時代であれば)企業に対する挑戦的な態度でもいいから、自由に、自分のアイデンティティを発信してもらうといいのではないかなと思います。
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就活という枠だけで考えてしまうと、SNSを監視や減点探しツールのように使う企業からの視線が怖いかもしれません。
ただ、そういった企業に自分を良く見せて減点されないようにすることに何かメリットがあるのか、(逆に、別の大きなメリットを取り逃してはしまわないだろうか)と考えて行動の選択をすることも考え方の一つだと思います。もちろん、そういう企業が良くないというのではなく、そういう価値が大切な事業は世の中にたくさんありますが、いずれにせよ、最後に頼りにするべきは自分自身の市場価値という時代ですから、自分が企業人として、どのような行動に価値を見出してもらい評価されたいかを選択し、そして(企業に限らず)どのような組織であっても、自分のキャリアについて戦略的に考えた行動を選択をしてもらうのが良いのではないかなぁ、と思います。
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これからの時代をつくっていく世代の皆さんですから!
文責:人事・採用担当 浦野
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