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はじめに: 当社とTRIGGERは、以前協賛した経緯があるというくらいのもので、特段の利害関係はございません
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■学生団体主催のイベント提案について
採用に携わっている人事のところには、いろいろな学生団体から「イベントに協賛してほしい」というアプローチがやってきます。当社も、数年前にある学生団体主催のビジネスコンテストに協賛した経緯があり、以来、いろいろな学生団体から協賛の依頼がくるようになりました。
それらイベント協賛の見返り(企業側のメリット)として提示されるのは「優秀な学生とのつながりができます=採用活動の宣伝・告知効果があります」というものがほとんどです。それ以外にも、大学生への商品マーケの場とか、自社製品のアピールとか(こういう場合はマーケや営業と一緒に話を進めることになります)、もしかしたら「学生の活動を応援してください」という、景気のいい時代なら通用したかもな理由を前面に押し出すケースも、まだ多いかもしれません。(この場合は社長と話を進めないといけない)
■学生団体の提案の甘さ
企業にとっては、実際にいくばくかの(場合によっては多額の)投資にもなりますから、「応援の気持ち」だけでは財布の口は開けないと思います。
そのイベントに協賛するだけのROIを何に設定して実現するかということが企業側の検討事項になるわけですが、残念ながら、ほとんどの学生団体にはそれを提供するという意識が薄いのが現状です。結局のところ、「応援の気持ち」を期待するボランティアの枠を抜け出せないまま、申し訳程度に仮説立てられた効果を謳ってみたというだけの提案がほとんどです。これではなかなか厳しい。
そんな学生団体の提案する内容の詰めの甘さは、私の経験上、以下のようなところに現れると思います。
(1)「イベントでの出会い」のような、一回性が強く、その場の打ち上げ花火で終わってしまうような仕掛けしか用意していない
(2)(提供するイベントの)商品価値に対する認識やデータの裏付けが乏しい
(3)先輩たちがやっていたことをそのまま踏襲しているだけで工夫がなく、求める結果に対する思考プロセスが省かれている
こういう提案の結果として想像されるのは、イベントその場では盛り上がった気持ちになってみんな達成感もあるが、終わったらそこまでで、企業側からしてみたら何のためにお金を払ったんだか、人事担当者がイベントの場を面白がっただけで終わりっていう。
実際にそういうケースが多いため、一回協賛をした企業が、翌年以降も二・三回と継続的に協賛することが極端に少なくなっているのが、多くの現状ではないかなと思います。結果として焼畑農業のような姿になってしまうでしょう。
■継続的なつながりを求めて
学生団体から提供されるものへの期待は、イベントならイベントでよいのですが、そこに参加する企業と学生の皆さんとが平常のコミュニケーションを継続できる、そのための場づくりです。瞬間芸的な盛り上がりに企てられただけのイベント接触の機会って、一見派手でおもしろいのですが、そもそも発想がすでに古臭いじゃないですか。きっと20年前からありましたよ、それと同じような提案・・・って言いたい。企業が「広告」に対して取っているスタンスって、もう20年前のそれとは大きく違っているのです。同じことをやってるだけでは企業側の変化についていけてません。
そういう旧態依然とした、効果が曖昧な「広告」とか「イベント」の発想ではなくて、たとえばお互いのソーシャルグラフの結び付きを意識したようなハブの役割を強く機能させてほしい。なぜなら、そこに期待できるのはもっとリアルな結びつき・コミュニケーションだからで、そこに対してはROIの設定や効果測定も可能になるからです。そんな機能が丁寧に用意されてさえいれば、そこから先の「効果」は、企業側がどれだけコミュニケーションの努力を継続できるかに任せてよいはずですし(ちなみにそれ以上の責任を求めてくる人事は相手にしてはいけない)、その学生団体が次の年に代替わりしたとしても、企業のほうに蓄積されていく顧客体験が、他の学生団体との差別化要因になるはず。
継続性が前提とされる場では、企業側の努力そのものが成果に比例しやすくなるというのが大きなポイントです。逆に、一回性の強い場では有名企業や認知済みの企業だけが効果を上げるのに適した場となってしまって(努力とは別次元のところで効果が決まってしまうので)、本当に学生との出会いを期待している企業にとっては魅力がなくなってしまいます。
そんなわけで、若い世代の口から「このイベントには高学歴の学生がたくさん集まるからすごいでしょ」っていう古い売り文句は、もう言ってほしくないかな。
■個人的に期待しているTRIGGER
…と、上記のような趣旨を、今年はいくつかの学生団体の“営業担当”の方々に話しました。イヤですね~われながら説教くさい!!
そんな中で、「TRIGGER」というビジネスコンテストの運営メンバー(私が主に話をしたのは慶応2年生のかたですが)は、このような意見を正面からとらえてくれ、結果として、Twitterを利用した「企業と学生の継続的なつながり」の方法なども模索・提案してくれました。素晴らしい!この手の学生団体の中では、新しい可能性についての検討ががもっともされているのではないかと思います。
企業側から発せられるこのような意見を真剣に考えてくれたのは、おそらく、TRIGGERに関わっているメンバーの、この活動にかける思いの強さだとか、学生団体の活動が抱える課題への危機意識の強さだとか、そういうものが背景にあったと感じています。いずれにしても、関わるメンバーの普段からの本気度合いの表明であったように個人的に受けとめました。
これまでやったことのない事例にアタックしてみるという学生さんの活動は、「応援したく」なります。
TRIGGERというビジネスコンテスト自体、実績もきちんとしている(ベンチャー企業を多く輩出している)のですが、こういったような経緯もあって、2010年の運営をしているメンバーのみなさんには個人的に期待しています。
ということで、最後に、今年のTRIGGERのイベント告知のお手伝いなど。
※繰り返しですが、当社とTRIGGERは、以前協賛した経緯があるというくらいのもので、特段の利害関係はございません・・・※
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開催日 2010年11月27日(土)
時間 13:00~17:30基調講演, 決勝プレゼンテーション
18:00~19:30:交流会(任意参加)
場所 ベルサール新宿
参加予定 約750名
参加費 学生 1000円 / 社会人 2000円
交流会費は学生:別途1500円(10月16日変更) 社会人:別途5000円
http://www.springwater.gr.jp/trigger/contest/
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文責:人事・採用担当 浦野
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